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2014年5月3日

小説「灰の男」小杉健治著を読んだ



放火の犯人とされる老人の無罪を証明する事になる東京大空襲前後の関係者のことを中心に綴られていく作品です。

昔の表現が結構出てくるのでわかりにくいことはちょっとあるんですが、放火犯とされ裁かれることになってしまった老人の告白は衝撃的で、夜に出すことは出来ない内容となっており、老人の人生がほんとに苦悩に満ちたものだったことが伺えます。

自分のことではなくとも身内が選択したことで最愛の人を無くす悲しさ、罪悪感、贖罪など、心の葛藤を裁判で告白する老人の人生は一体何だったのかと思えます。

最初から引き込まれる文章というよりは、結構半ば辺りまであまり面白くないなという感じを受けてたのですが、明かされる真実に驚き、老人の短い人生が穏やかに過ぎればいいなぁって思う最後でした。



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