これを読んで思ったのは、一般的に云われている幸せってほんとに幸せなのかなってこと。
主人公は田渕和子という生まれつきブスな女の子。
容姿のせいで肉親や周りから辛辣な扱いを受け、心もネジ曲がってしまった。
初恋の人のを失明させようとしたことで、街に居られなくなり、親からも絶縁状態で東京に出ることになる。容姿のせいで、このまま寂しく一人で年老いて死んでいくしかない。。。しかし彼女はそんな未来を辿ることをよしとせず、整形によってこれまでのコンプレックスを覆し、女としての幸せを追求し、そのことによってできた自信をたった一つぶら下げて故郷に帰ってくる。
本文は故郷に帰ってきた主人公の今と過去をダブらせながら、クライマックスへと向かう書かれ方をされている。とても丁寧に整形の内容や容姿が優れているということでの利点、人間の裏表が書かれていて、びっくりした。
主人公の洞察や心情は私のように容姿が全くなっていない人間にとってはとてもよくわかる内容だった。ただ、私には主人公のように追求して探求して深く掘り下げ、実行する勇気というか気概がない点。
整形による美しさは、世間では冷ややかだけど、本人が生きていく上で必要なら別に構わないと思う。本書の中にもあるけど、大半妬みだからね。わざわざ意見してくる人って。もしくは今満たされている人かな。
主人公は努力を重ねて何よりも自分が欲したものを手に入れて旅立つ。。。
まぁ、後のことなんて本人にとってはどうでもいいことだよね。
それでもエピローグに書かれていたことは、人の目はなんともいい加減で、野卑で人間の本質だと思った。
読み終えて思ったことは、幸せの標準なんて無いってこと。
昔劇場アニメで「オネアミスの翼」という作品の登場人物の一人が言ったことを思い出す。
「真実なんて目の前に石ころのようにいくつも転がっている。どれを選ぶかは自分次第」だと。
その選択の時、自分の正義を取るか、はたまた無言の周りの圧力に屈するか、流され続けるのかを決めるのが、後悔のないようにしたいと、日々心の隅っこで頑張っていたりする。
それをプライドというか自我を通すというかワガママというかは思い込み次第。
モンスター (幻冬舎文庫) 百田 尚樹 幻冬舎 2012-04-12 |
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