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2014年3月16日

「症例A」多島斗志之作を読んでみた



仕事関係でもういらないからと頂いた本の一冊。

お話は精神病院での物語。

とある精神病院で精神科医が屋上から飛び降り自殺する。その医師の後を継ぐ事になった沢村医師と、その精神病院でただ一人隔離されている五十嵐老人。第二次大戦前後の混乱期も合わせて隠蔽された事実。ミステリー風に味付けされているようで実はそうでない展開は面白かったです。

なによりすごいと思ったのは、末巻解説を書かれている方も述べられてましたが、潜入取材でもしたかのようなリアリティ溢れる文章。

症状や診断基準はとても細かに描写されていて、症状に拠って診断はほんとに難しいのだと思いました。

映画や漫画、ドラマなとで描かれている派手さや際立った表現は、ほとんどが一部をクローズアップして脚色したもので、信用するものでは無いと理解できる内容です。

これを読むまで解離性同一性障害が精神科医の間では虚構と扱われているとは知りませんでした。むしろ一般的なものだと思ってたんですよ。

読むに連れて人間の思考や意思はほんとに複雑なんだなと改めて思いました。

兎に角ボリュームがあり、読むのがとても大変でした。

ブレイブ・ストーリーのときも感じた内容が濃い故に、読むのがキツイってなる一冊です。

けれど読み終えて、視野が広がることは間違いないと思います。


4043690010症例A (角川文庫)
多島 斗志之
角川書店 2003-01




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